「婚活のために痩せましょう」
この言葉は、分かりやすく、刺激的で、検索にも引っかかりやすい。
けれど私は、この言い方にずっと距離を感じてきました。
なぜなら、年齢を重ねた大人にとって、
体型や体調の問題は、単なる“気合”や“努力不足”では済まされないからです。
仕事、責任、生活リズム、ストレス、体力の変化。
それらが複雑に絡み合った結果として、
今の体があり、今の生活があります。
私は現在57歳、男性の仲人です。
これまで多くの婚活相談を受けてきましたが、
最近とくに強く感じるのは、
「結婚できるかどうか」の手前で、
すでに疲れ切ってしまっている方々が非常に多いという現実です。
条件は悪くない。
会話もできる。
真面目に生きてきた。
それなのに、なぜかご縁が進まない。
そうした方を丁寧に見ていくと、
問題はスペックではなく、
「今の状態で、誰かと生活を始められる余白があるかどうか」
そこに行き着くことが少なくありません。
疲れている人は、
自分では気づかないうちに、
表情が硬くなり、言葉が慎重になり、
人との距離を取るようになります。
それは性格の問題ではなく、
体と生活の消耗が、そのまま表に出ているだけです。
実は、少し前までの私は、
まさにその状態でした。
体重は90kgを超え、
朝はだるく、やる気が出ない、集中力が続かない。
「年齢的に仕方がない」
そう自分に言い聞かせながらも、
どこかで違和感を抱えていたのを覚えています。
仲人という立場で、
人の人生の節目に関わる仕事をしていながら、
自分自身の体や生活を、
どこか雑に扱っている。
そのことに、はっきりと気づいたとき、
このままではいけない、と思いました。
ただし、ここで誤解してほしくないのは、
私は「これが初めてのダイエット」ではない、という点です。
実は50歳になる少し前にも、
一度、本気で体を絞った経験があります。
当時は3ヶ月で20kg、
6ヶ月で25kg落とし、
いわゆる標準体重まで戻しました。
その後、何年かは体重を安定してキープできていました。
だからこそ、
「また戻せばいい」
「自分は一度できた人間だ」
そんな油断も、どこかにあったのだと思います。
しかし、人の体は環境に正直です。
そして年齢を重ねるほど、
変化はゆっくりではなく、
ある日突然、形になって現れます。
体調を崩し、
生活リズムが変わり、
運動をやめざるを得なくなったことで、
体重は一気に増えていきました。
このブログは、
「一度成功した人間が、また痩せた話」ではありません。
また、
「年齢に逆らって若返る話」でもありません。
書きたいのは、
一度整えたはずの体と生活が崩れたとき、
どう向き合い直したかという記録です。
婚活も、人生も、
一度うまくいったからといって、
ずっと同じ状態でいられるわけではありません。
環境が変われば、前提も変わります。
だから必要なのは、
過去の成功体験をなぞることではなく、
今の自分に合わせて、もう一度設計し直すこと。
この文章は、
「痩せなければ結婚できない」と言うためのものではありません。
また、誰かを急かすためのものでもありません。
57歳の一人の男性が、
自分の体調と生活の変化に直面し、
もう一度、現実的に立て直そうとした。
その過程を、正直に書き残したものです。
もし今、
婚活がうまくいかず、
「何から手をつければいいのか分からない」
そう感じているなら、
条件や戦略を変える前に、
一度だけ、自分の足元を見てみてください。
体、生活、気力。
そのどれか一つが少し整うだけで、
人は思っている以上に、前を向けるようになります。
この話が、
そのための入口になれば幸いです。
1.なぜダイエットを始めたのか
今回のダイエットは、
私にとって初めての挑戦ではありません。
実は、50歳になる少し前にも、一度大きく体を絞った経験があります。
当時は体重がかなり増えており、
「このまま年齢を重ねていくのはさすがにまずい」
そんな危機感から、本気で体と向き合いました。
結果として、
3ヶ月でマイナス20キロ、
6ヶ月でマイナス25キロ。
いわゆる“標準体重”まで戻すことができました。
特別な才能があったわけではありません。
やったことは、今回と同じく、
食事量と運動量を見直し、
生活全体のバランスを整えただけです。
その後、何年かは体重を安定してキープできていました。
大きく増えることもなく、
「自分はもう、一度リセットできた人間だ」
どこかで、そう思っていたのだと思います。
ただ、人は環境が変われば、簡単に元に戻ります。
仕事が忙しくなり、
車での移動が増え、
生活リズムが少しずつ崩れていく。
気づけば運動量は減り、
食事も「とりあえず済ませる」ものが増えていました。
それでも、当時はまだ
「致命的ではない」
「また戻せばいい」
そう考えて、深刻には受け止めていませんでした。
決定的だったのは、昨年12月です。
帯状疱疹を発症しました。
体調を考え、
それまで続けていた朝のランニングを中断することになりました。
「一時的な休養」のつもりでしたが、
運動をやめた影響は、想像以上に大きかった。
運動をやめると、
体は驚くほど正直に反応します。
代謝は落ち、
活動量も減り、
体重は一気に増え始めました。
それまで何年もキープしてきた体重が、
まるで堰を切ったように増えていく。
「これはまずいな」と思いながらも、
体調が完全に戻らないことを理由に、
何となく先延ばしにしてしまった。
その結果、
気づけば体重は再び90kgを超えていました。
このとき感じたのは、
ショックよりも、強い現実感でした。
「自分は、一度痩せたことがあるから大丈夫」
その慢心が、確実にあった。
そして、年齢を重ねるほど、
立て直しには“意識的な行動”が必要になる。
仲人として多くの方を見てきた中で、
「一度うまくいった経験がある人ほど、油断しやすい」
そんなケースを、私は何度も目にしてきました。
まさに、それが自分自身だったのだと思います。
だから今回のダイエットは、
「もう一度、成功体験をなぞる」ためのものではありませんでした。
若い頃の再現でも、
勢い任せのリベンジでもない。
今の年齢、今の体調、今の生活に合わせて、
現実的に立て直すこと。
それが目的でした。
50歳前のダイエットは、
ある意味で「攻め」でした。
しかし今回の取り組みは、
完全に「守り」であり、「再設計」でした。
帯状疱疹を経験し、
体調を崩し、
運動をやめたことで増えた体重は、
「無理をするな」という体からのサインだったようにも思います。
だからこそ、今回は焦らない。
若い頃と同じやり方はしない。
根性論には戻らない。
もう一度、
自分の体と生活を、
現実の数字と感覚に引き戻す。
それが、
今回ダイエットを始めた、本当の理由です。
2.やったことは、驚くほどシンプルだった
今回のダイエットで、私が最初に決めたことがあります。
それは、若い頃と同じやり方をしないということでした。
50歳になる前に体重を大きく落としたときは、
ある程度の無理もききました。
体力もあり、回復も早く、
「少し頑張れば何とかなる」感覚があったのは事実です。
しかし今回は57歳。
しかも、帯状疱疹を経験し、
体調を崩した直後の体です。
同じ方法をなぞるのは現実的ではありませんでした。
だからこそ、考え方を一度リセットしました。
「何を食べるか」
「どんな運動をするか」
といった細かい話よりも、
摂取カロリーと消費カロリーの関係だけを見る。
それ以上のことは、あえて考えない。
これが、今回の基本方針です。
年齢を重ねると、
情報が多いほど迷います。
糖質制限、脂質制限、○○ダイエット、サプリメント。
どれも一理あるのでしょうが、
複雑な仕組みは、長くは続きません。
私は今回、
「理解できないことはやらない」
「続けられないことは最初から選ばない」
そう決めました。
食事|管理するのは“量”だけ
まず、朝食。
ここは固定化しました。
納豆、豆腐、わかめスープ。
理由は単純で、
準備が楽で、考えなくてよく、
カロリーと栄養のバランスが安定しているからです。
昼食は、制限しすぎないことを意識しました。
仕事の都合で外食も多くなります。
そこで無理をすると、必ず反動が来ます。
ルールはひとつだけ。
1,000キロカロリーを超えないこと。
牛丼ならミニサイズにしてサラダをつける。
定食なら、ご飯を少なめにする。
食べたいものを完全に排除するのではなく、
「量で調整する」ことを選びました。
夜は、米を極力控え、おかず中心。
完全に炭水化物を抜くわけではありません。
必ず、3食の食事はとること(食事は抜かない)、
食べたい物を我慢しない、
食べる速さ、食べる順番、ストレスになることはしないそのくらいの柔らかい基準にしました。
運動|鍛えるより、戻す
運動は朝に行います。
時間は1時間から1時間半ほど。
内容は、最初の20分を軽めのランニング、
その後は歩いたり走ったりを繰り返す形です。
距離にすると8km〜10km程度になります。
ただし、これは「毎日必ず」ではありません。
体調が重い日、睡眠が浅かった日、
そういう日は無理をしない。
歩く時間を増やす、距離を短くする。
やめないことを最優先にしました。
若い頃のように
「追い込めば結果が出る」
という考え方は、今回は捨てました。
目的は体を壊さないこと。
体力を“上げる”より、
まずは“戻す”感覚です。
特別なことは、していない
サプリメントは使っていません。
パーソナルトレーナーもつけていません。
誰かに管理されることもありませんでした。
やったことは、
・食べた量を把握する
・動いた量を意識する
・無理をしない
それだけです。
結果として、3ヶ月で13kg減。
数字だけ見ると大きな変化ですが、
体感としては、
「生活を現実に戻した」
それに近い感覚でした。
今回のダイエットは、
過去の成功体験の再現ではありません。
今の年齢、今の体調、今の生活に合わせた
再設計です。
そしてこの考え方は、
婚活にもそのまま当てはまると感じています。
若い頃のやり方が通用しないからこそ、
今の自分に合った形を探す。
無理をせず、でも放置しない。
それが、今回私が選んだやり方でした。
3.3ヶ月で13kg減って、何が変わったのか
今回、3ヶ月で体重が13kg減り、
90kgを超えていた体は80kgを下回りました。
数字だけを見ると、分かりやすい成果です。
けれど、実際に生活をしていて感じたのは、
変わったのは体重よりも「日常の質」だったということでした。
まず、朝の感覚が違います。
以前は、目が覚めた瞬間から体が重く、
「もうひと仕事終えたような疲れ」を抱えたまま一日が始まっていました。
それが、体を整えていくにつれて、
起きたときのだるさが明らかに減っていった。
年齢的に、若い頃のような爽快感が戻るわけではありません。
ただ、
「動こうと思えば、ちゃんと動ける」
この感覚が戻ってきたことは、大きな変化でした。
集中力にも影響が出ました。
人の話を聞くとき、
以前はどこかで疲労が先に立ち、
頭の片隅で「早く終わらないかな」と思ってしまう瞬間がありました。
今は、相手の話を落ち着いて聞ける時間が、明らかに増えています。
仲人という仕事は、
話す力よりも、聞く力が問われます。
相手の言葉の奥にある感情や迷いを感じ取るには、
心身にある程度の余白が必要です。
その余白が、体を整えたことで戻ってきた実感があります。
見た目の変化についても、触れておきたいと思います。
痩せたからといって、若返ったわけではありません。
ただ、鏡に映る自分を見たときに、
「まあ、このまま外に出ても大丈夫だな」
そう思える日が増えました。
服選びも変わりました。
体型を隠すためだけの服ではなく、
「今日はこれでいこう」と選べる余地が少し増えた。
それだけで、人前に出るときの姿勢や表情は自然と変わります。
一番大きかったのは、気持ちの変化です。
体が重かった頃は、
「どうせ自分なんて」
「もうこの年齢だし」
そんな言葉が、無意識に頭をよぎっていました。
体を整えることで、
その声が完全に消えるわけではありません。
ただ、必要以上に自分を下げる癖が、少し弱まりました。
それだけで、人との向き合い方はずいぶん違ってきます。
婚活の現場でも、これはよく見てきたことです。
体型の良し悪しよりも、
疲れているかどうか、余裕があるかどうか。
それは、相手に確実に伝わります。
条件が良くても、
どこか疲れ切った雰囲気をまとっていると、
「一緒に生活する未来」が想像しづらくなる。
逆に、体調が安定している人は、
言葉に温度があり、相手の話を受け止める余白があります。
今回のダイエットで、
私は「痩せたから何かが劇的に変わった」とは思っていません。
ただ、自分を雑に扱わなくなった。
その積み重ねが、
日常の質を、少しずつ底上げしてくれた。
そんな感覚です。
婚活においても、
見た目の変化以上に、
「今の自分は、誰かと向き合える状態か」
その問いに正直でいられるようになったことが、
一番の変化だったのかもしれません。
3ヶ月で13kg減ったという数字は、
その結果としてついてきただけ。
本当に得たものは、
これから先も、誰かと向き合い続けるための
土台だったように思います。
4.婚活において「痩せること」の本当の意味
ここまで読んでいただき、
「やはり婚活では痩せている方が有利なのか」
そう感じた方もいるかもしれません。
まず、はっきりお伝えしておきます。
痩せている=結婚できる、ではありません。
これは、仲人として多くのご縁を見てきた立場から、
迷いなく言えることです。
体型が標準でも、ふくよかでも、
穏やかな結婚生活を築いている方はたくさんいます。
一方で、体型が整っていても、
なかなかご縁が進まない方も少なくありません。
では、なぜ婚活の文脈で
「痩せる」「体を整える」という話題が
繰り返し出てくるのでしょうか。
それは、婚活の場で見られているのが
体型そのものではなく、「生活の状態」だからです。
婚活とは、
条件を並べて比べ合う場ではありますが、
同時に
「この人と一緒に生活できそうか」
を直感的に判断する場でもあります。
その判断材料は、
プロフィールに書かれている数字だけではありません。
・姿勢
・歩き方
・表情
・声の張り
・話すテンポ
・清潔感
・服の選び方
こうした要素はすべて、
日々の生活と体調の影響を強く受けます。
体が重く、疲れが抜けていない状態では、
無意識のうちに動きは鈍くなり、
言葉は慎重になり、
人との距離を取りがちになります。
それは性格の問題ではありません。
消耗した状態が、そのまま外に表れているだけです。
婚活で「悪い印象を与えたわけではないのに、なぜか次につながらない」
そう感じている方を丁寧に見ていくと、
多くの場合、相手に拒否されたのではなく、
「生活が想像しづらい」と判断されているケースが少なくありません。
疲れていそう。
余裕がなさそう。
自分のことで精一杯そう。
これは、
年齢や体型よりも、
はるかに婚活に影響する要素です。
私自身、体が重かった頃を振り返ると、
人の話を聞いているようで、
どこかで早く終わらないかと考えていたり、
小さなことで気持ちが揺れたりしていました。
痩せたことで人格が変わったわけではありません。
ただ、体を整えたことで、
人と向き合うための余白が戻ってきた。
その感覚は、とてもはっきりしています。
婚活において本当に大切なのは、
「選ばれるための体型」ではなく、
**「一緒に生活できそうだと思ってもらえる状態」**です。
そのために必要なのは、
必ずしも体重を大きく落とすことではありません。
・睡眠を少し整える
・食事の時間を見直す
・運動量をほんの少し増やす
・体調を気にかける習慣を持つ
それだけで、表情や雰囲気が変わる人は多い。
体を整えるという行為は、
モテるための手段ではありません。
自分の生活を、相手に差し出せる状態に戻すことです。
だから私は、
「婚活するなら痩せろ」とは言いません。
代わりに、こう伝えたいと思っています。
今の自分は、
誰かと向き合う余裕を持てているだろうか。
一緒に暮らす日常を、
相手に想像させられる状態だろうか。
もしそこに不安があるなら、
条件を変える前に、
プロフィールを書き直す前に、
まず体と生活を、少しだけ整えてみてほしい。
痩せる必要がある人もいれば、
休むことが必要な人もいます。
婚活における「体を整える」とは、
自分を追い込むことではなく、
自分を雑に扱わない状態に戻すことなのです。
5.痩せられない人を、責めたいわけじゃない
ここまで読んで、
「理屈は分かるけれど、正直それどころじゃない」
そう感じた方もいるかもしれません。
その感覚は、とても自然なものだと思います。
年齢を重ねるほど、
体を整えることは簡単ではなくなります。
若い頃のように、
少し動けば結果が出るわけでもない。
忙しさや責任、家庭の事情、体調の波。
それらを抱えたまま日々を回している人にとって、
「まず自分の体を整えよう」という言葉は、
時に重く響いてしまいます。
だから私は、
「痩せられない人が悪い」
「やる気が足りない」
そんな話をするつもりはありません。
むしろ、婚活の現場にいると、
真面目で、我慢強くて、
これまでの人生をちゃんと生きてきた人ほど、
自分のことを後回しにしている
そう感じる場面が多くあります。
仕事を優先し、
家族を優先し、
周囲との調和を優先してきた結果、
自分の体調や生活は、
「余裕ができたら整えればいいもの」になってしまう。
それは怠慢ではありません。
責任感の裏返しです。
私自身、
一度体重を落とし、
しばらくは安定した状態を保っていたからこそ、
「また戻せばいい」
「今は仕方がない」
そうやって、自分の変化を後回しにしてきました。
帯状疱疹をきっかけに体調を崩し、
一気に体重が増えたとき、
強く感じたのは、
「これは意志の問題ではない」という現実でした。
環境が変われば、体も変わる。
体調を崩せば、生活も変わる。
その積み重ねの結果として、
今の状態がある。
だから、
「痩せられない自分」を責める必要はありません。
婚活において大切なのは、
結果として何キロ減ったかではなく、
自分の状態に目を向けているかどうかです。
体重を落とす必要がない人もいます。
睡眠時間を30分増やすだけで、
表情が変わる人もいます。
夜遅い食事を、
ほんの少しだけ早めるだけで、
朝のだるさが軽くなる人もいる。
それは「ダイエット」ではなく、
生活の微調整です。
婚活がうまくいかないとき、
人はつい、
年齢や条件、過去の失敗に理由を求めがちです。
けれど実際には、
心身の消耗が積み重なっているだけ、
というケースも少なくありません。
疲れた状態では、
前向きな判断はできません。
人の好意を受け取る余裕も持てません。
その状態で婚活を続けること自体が、
とても消耗の激しい行為です。
だから、もし今、
「何かを変えなければいけない気はするけれど、
何も始められない」
そう感じているなら、
無理に痩せようとしなくていい。
まずは、
・今日は少し早く寝る
・エスカレーターを階段に変える
・間食を一回だけ減らす
その程度で十分です。
婚活は、
自分を追い込む競争ではありません。
続けられる状態をつくることが、何より大切です。
痩せられない自分を否定しなくていい。
ただ、今の自分を少し気にかけてみる。
それができた時点で、
もう一歩は確実に前に進んでいます。
仲人として、最後に伝えたいこと
ここまで、
体を整えた過程や、その中で感じた変化について書いてきました。
数字だけ見れば、これは「ダイエットの話」に見えるかもしれません。
けれど私自身は、
この一連の経験を、
単なる減量や健康管理だとは捉えていません。
それは、
自分の人生と、もう一度ちゃんと向き合い直す時間
だったように思います。
婚活の現場にいると、
多くの方が「結婚」という結果に意識を向けすぎて、
その手前にある日常や、自分自身の状態を、
いつの間にか後回しにしてしまっています。
・疲れきったまま出会いに向かう
・自信を失ったまま自分を説明する
・「どうせ自分なんて」と思いながら活動を続ける
それは誰のせいでもありません。
それだけ、これまでの人生を一生懸命生きてきた、ということです。
けれど、誰かと人生を共にするという選択は、
条件や理想を整える前に、
「今の自分は、誰かと向き合える状態だろうか」
という問いから始まるものだと思います。
体を整えることも、
生活を見直すことも、
自分を鍛え上げるためではありません。
自分を責めるためでも、
若さを取り戻すためでもない。
今の自分の状態を、
一度きちんと認めて、
そこから無理のない形を探していく。
そのための作業です。
仲人という立場で仕事をしていると、
つい「正しい選択」や「最短ルート」を提示したくなります。
けれど実際の婚活は、
そんなに単純ではありません。
人にはそれぞれ、
抱えている事情や、生活の背景があります。
同じ言葉が、
ある人には力になり、
別の人には重荷になることもある。
だからこそ、
仲人に求められるのは、
答えを押しつけることではなく、
一緒に考え、一緒に動く姿勢だと、私は考えています。
今回、自分自身が体を整える過程で、
改めてそのことを実感しました。
年齢を重ねれば、
思い通りにいかないことは増えます。
体調も、気力も、若い頃とは違う。
過去の成功体験が、
そのまま通用しない場面も出てきます。
だからといって、
「もう仕方がない」と諦める必要はない。
ただ、やり方を変える必要があるだけです。
ご縁があって会員様になられた方のためになるなら、
自分がなんでもやってみる。
動いてみる。
結果を出してみる。
年齢や立場を理由に、
「そこまでは自分の役割じゃない」と線を引くのではなく、
まず自分自身が、一歩前に出てみる。
それが、
MOVE(ムーヴ)ON(オン) です。
ムーヴオンとは、
無理に前へ進めという意味ではありません。
焦って次へ行け、という合図でもない。
立ち止まってもいい。
遠回りしてもいい。
一度崩れてもいい。
それでも、
もう一度自分の人生に関わり直すこと。
「今の自分にできる一歩」を探し続けること。
それを、私は「MOVE ON」と呼んでいます。
婚活は、
誰かに選ばれるための競争ではありません。
自分の人生を、誰かと共有できる状態に戻すプロセスです。
うまくいく人もいれば、
時間がかかる人もいます。
途中で立ち止まる人もいれば、
一度休むことで、前に進める人もいる。
どれも間違いではありません。
仲人として、
私は魔法のような方法を差し出すことはできません。
けれど、
現実を一緒に整理し、
無理のない形を一緒に探し、
必要なら、自分自身も動いてみる。
その姿勢だけは、
これからも変えずにいたいと思っています。
この文章が、
今どこかで立ち止まっている方にとって、
「もう一度、自分の足元から整えてみよう」
そう思えるきっかけになれば、
仲人として、これ以上嬉しいことはありません。


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